2014年1月5日、米国ラスベガスで開催されたCES 2014のプレスカンファレンスにおいて、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、モバイル半導体の常識を覆す次世代プロセッサTegra K1(開発コード名:Logan)を発表した。デスクトップPCのフラッグシップで絶賛されたKeplerアーキテクチャをそのままモバイルの省電力枠に移植し、据え置きゲーム機に匹敵する演算能力を掌の上に届けるという離れ業を成し遂げた。

192基のKepler CUDAコア:完全なアーキテクチャ同一性

Tegra K1最大のブレイクスルーは、デスクトップGPUとの完全な互換性にあった:

  • 192基のネイティブKepler CUDAコア:GTX 680やTITANと全く同じSMX構造を搭載。
  • フルスペックAPIの完全サポート:モバイル向け簡易版(OpenGL ES)にとどまらず、DirectX 11、OpenGL 4.4、OpenCL、そしてCUDA 6.0に完全対応。
  • 家庭用ゲーム機を凌駕する電力効率:わずか5W前後のモバイル消費電力枠でありながら、PS3やXbox 360といった第7世代据え置き型ゲーム機を上回る描画性能を達成。

独自の64ビットCPU「Denver」の登場

Tegra K1は2種類のCPUバリエーションを展開した:

  1. 32ビット版:クアッドコア ARM Cortex-A15+省電力コアの4-PLUS-1構成(最大2.3 GHz)。
  2. 64ビット版(Project Denver):NVIDIAが長年自社開発を進めてきたARMv8互換のカスタムデュアルコア。動的コード最適化機能を備え、圧倒的なシングルスレッド処理能力を発揮した。

車載システムへの進出:スマートコックピットの先駆

発表会場でフアンCEOは、Tegra K1上で美しくリアルタイム描画される「Unreal Engine 4」のデモを披露するとともに、車載プラットフォームNVIDIA DRIVE CXを発表。アウディ(Audi)をはじめとする高級車メーカーがいち早く次世代デジタルメータークラスタの演算頭脳として採用を決定した。

歴史的意義:エッジAIプラットフォーム「Jetson」の誕生

Tegra K1の功績はモバイル端末にとどまらない。NVIDIAはこのチップを基盤に開発ボード「Jetson TK1」を発売。世界中のロボット開発者や研究者が低消費電力でCUDA並列計算を活用できるようになり、今日のエッジAI(Edge AI)エコシステムの原点がここに形成された。

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